ターミネーター４ 2009/06/16[Tue] T考

＞画像、チラシより。

新章突入!!
単なる近未来SFアクションに終わらせていない、
シリーズを踏襲しつつ巧く練られた脚本に感心。
今年一番とまでは行かなかったですが
それでも非常に面白い作品に仕上がっていました。
前シリーズを観ていないと面白さ激減ですので
必ず観て下さい。(…見ているとは思いますけれど)
(因に今の所、今年1位は｢チョコレート・ファイター｣です!!)

未来が舞台とは言え、怖いですよ、あんな機械。
なによりもスカイネットの本当の恐ろしさが、
描かれていた事が非常に良かったです。

そうそう、このT4に登場する機械と前回取り上げました
｢今日も僕は殺される｣に出て来るアイツが同じ名前なんですね。
スタン・ウィンストン氏が関係している両作品に
それが登場している事も、また興味深かったです。

いや、驚きました。
今回の脚本…いや、スカイネットの抹殺計画!!
その数、四度目(?)にして、編み出された仕掛けでしょうか。
(TV版は未見のため劇場版のみのカウントです)
ターミネーターシリーズでは未だその本当の姿こそ
現わしませんが実は裏の主人公である、
“ターミネーターを送り込んで来る未来のスカイネット”が存在する
“現在”と言う事を念頭に置きつつ、私はタイムパラドックス云々を
語れる程柔軟な脳の持ち主ではないので、ターミネーターシリーズに
描き込まれている四つの共通点、

1、未来からターミネーターが送られて来る。
2、主人公がみた事も無いターミネーターに遭遇する。
3、未来の為に“過去”を救う。
4、しつこい。

から今回のT4を振り返ってみたいと思います。

☆以下、内容に触れています。

1、未来からターミネーターが送られて来る。

さて、過去作のターミネーターシリーズの要である
未来から過去へ送り込まれる抹殺兵器ターミネーター。
T4では鍵となるマーカスがそれに当たる訳ですが、
2003年時点でマーカスの体を改造した技術を産み出したセレーナ医師が
そのスタンスを汲み取っていると言う事でしょうか。

マーカスはコナーとカイルを同時に抹殺する為の囮として
創られたと言う時点でスカイネットが過去へ干渉していた事を
示唆していますし、セレーナ医師が未来から何らかの干渉を受けて
いた事は確かでしょう。セレーナ医師自身ががん患者を装った
未来から送られたターミネーターだった…なんて事であれば話は
早いのですが、その部分は観た感じ明確にはされていない様でしたので
あくまでも妄想ですけれど…(笑)。

初の最大最長の大仕掛けを企てた、そのターミネーターを送り込んで来る
“未来のスカイネット”ですが、ジョンがT-800、T-1000を経験している
時間経過から考えるに、T-1000を送った以降の“未来のスカイネット”の
可能性が高く、となれば当然ジョンとカイルの事を知っていて、
２人を同時に抹殺しようと仕組んでいる事からも納得がいきそうです。
実はT-Xを送り込んで計画事態は失敗したから今度はT-Xよりも
“高性能なターミネーター”をT-Xを送った過去よりも前の過去に
“創らせた”と言う事も考えられ無くもないですよね。そうなればT3は
訪れなかった未来でも説明がつきそうですが、
真相はスカイネットしか知りません(笑)

2、主人公がみた事も無いターミネーターに遭遇する。

T-800、T-1000、(もしくはT-Xまで) と、
主人公の目の前にその脅威的な姿を見せてくれる、このシリーズ。
今回、送り込まれたのは人間の脳と心臓を残したままの状態の
半人間ターミネーター。しかも自分の体を機械にしたやつを
ぶっ殺そうとする事まで計算して創られた、
ジョンおびき出し専用囮型です。スカイネットもただ過去に
刺客を送り込んで殺すだけでは失敗すると考えたのか手口が
巧妙になって来ましたね。ハイブリッド型の技術が2003年に
確立されてしまったその後の2018年はジョンの知らない世界に
様変わりしてしまって、もう何が待ち受けるのか見当もつきません。
次回はどんな手段で見た事も無いターミネーターを私たちに
見せてくれるのでしょうか。楽しみです。

3、未来の為に“過去”を救う。

未来の救世主ジョン・コナー。その人物を
失わない為に、“過去”の“その母親”、そして“過去の自身”を
救って来ましたが、今回救い出す“過去”は“過去に送られるジョンの父親”
少年カイル・リース。過去に助けを送らずに“過去”を救い出すなんて
シリーズのテーマを忘れていない巧い脚本です。

4、しつこい。

言わずと知れた敵の事ですが、
纏わり付くし、いっぱいいるし、いろんなのがいるし(笑)
単体の恐ろしさは弱い気もしますが全部ひっくるめてしつこいでいいです。
やはりT-800はいい!! しかもあの“顔”ですから非の打ち所も無いです。
あのT-1000にT-Xまで倒してしまった最強兵器T-800…素晴らしい。
願わくば今後一度でいいから人間を咬み散らかして攻撃して欲しい。
(どんだけゾンビ態求めているんだか…笑)

スカイネット自体の人類と人間に対する本当の恐ろしさが、
この新シリーズでは描かれている所も、目新しくて良かったです。

前作へのオマージュとも取れそうな、熱する、冷やす、と言った
ジョンの戦い方にしても経験して得たヤツを一時的にでも止める方法の
一つと観ると、感慨深く感じた部分でもあります。


長々と書いてしまいましたが、
以上の４点もしっかりと押さえていてくれた
このT4はまぎれも無くターミネーターの続編シリーズ。
そこを描いてくれなければシリーズとは呼べなかったかも。
脚本大変だったでしょうね。よくぞこう巧くまとめてくれたものです。
前シリーズを観ずしては面白さも激減ですので、必ず見て欲しいですよね。
(とは言っても私はTVシリーズは見ていないのですけれど…)

新三部作と呼ばれ続編製作も決定し５、６と創られるて行く中、
機械対人間と言えば記憶に新しいマトリックス三部作が
既に結末を見せているわけで、それとどう描き分けるのか、
本作で明るみに出たスカイネットの人間に対する不可解な行動の
謎や、今後描かれるであろうT-1000のメカニズムに、
皆さんも一大関心事でしょうタイムマシンの登場も含め、
期待は膨らむばかり。始めにも述べましたが
“ターミネーターを送り込んでいる未来のスカイネット”がいる限り、
このシリーズは完結を見ない訳で、今回舞台を近未来に移した
ジョン・コナーの登場でようやくその“未来のスカイネット”に
追いつき始めました。これは確実にスカイネットを“抹消”するつもり
だと、作品自体からも意気込みが伺え、本気で挑もうとしている姿が
頼もしいです。そしてそこには当然、過去と未来が産み出した
“ジョン・コナー”への結実も描かれている事を期待して…。

兎に角、素晴らしい新章。期待以上の出来に満足でした。